新天地では知り合いも少なく、あるのは孤独感。
と同時に、前の環境では自分がいなくても問題なく回っていることで味わうさびしさ。
転勤で引っ越しをしたときには、こんな気持ちになる人が少なくないと思う。
僕がはじめて転勤をしたとき、新しい職場では最初は不安で寂しかった。前の職場では…と思い出すことが多かった。
でも、次第に薄れていくもので、前の環境のことを思い出すことはなくなった。そして、新しい環境にも順応していった。
しかし、なかなか癒えない感情もあった。
職場の上司が転勤したり、同僚が会社を辞めたりしたときに思ったことがある。
どんなに活躍した人がいなくなっても、その後、その職場は何事もなかったように回り出すのだな…、ということだ。
丁寧な仕事をしてみんなに信頼されていた人も、
何年も会社に尽くして定年まで勤め上げた人も、
取締役まで上り詰めて会社に貢献し続けた人も、
どんな人であっても同じだ。
いなくなった最初の日は「あの人いなくなっちゃなたな~」と話題になるだろう。
でも、数日たてば、みんな忙しいのだから、職場からいなくなった人のことを思い出して話することなどなくなる。
まあ、そういうものなのだろう。
自分が転勤をしたとき、もとの職場は何事もなく回っていた。僕がいてもいなくても。
正直さびしさと、むなしさを感じた。
がんばっても結局そうなるのだったら、どうすればいいのだろう…と思った。
でも、それが頑張らない理由にもならない。僕が考えたのは、
今やれること、目の前の人に全力尽くすこと
だった。これしかないだろうな。どうせ忘れられていく、もっといえば、骨になって土に返ってしまう。
だとしたら、今やれることを全力でやるしかないということだ。
もし、転勤・引っ越しでさびしく、むなしく思うことがあったら、まず僕らにできることは、目の前のことに全力を尽くすことだけだということを思い出してほしい。